キシリトール中毒について

中毒
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はじめに

皆さんは「キシリトール」と聞くと、ガムやタブレット、歯磨き粉などを思い浮かべるのではないでしょうか。近年はさまざまな製品に使われていて、私たち人にとっては安心で健康にも良いとされる甘味料です。

ところが、犬にとってキシリトールはとても危険なものときには命に関わるような重い中毒症状を引き起こすことがあるのです。実際に動物病院では、キシリトールを含むガムやお菓子をうっかり食べてしまった犬が来院するケースが少なくありません。

「人にとって安全だからペットにとっても大丈夫」と思ってしまう方もいますが、犬と人とでは体の仕組みが違うため、同じものでも全く異なる影響を及ぼします。だからこそ、飼い主さんがキシリトールの危険性を正しく知っておくことが、愛犬を守る第一歩となります。

犬に現れる中毒症状とは?

犬がキシリトールを摂取すると、体内で急速に吸収されて大量のインスリン(血糖値を下げるホルモン)が分泌されます。そのため血糖値が急激に下がり、重度の低血糖(12~24時間継続することも)を引き起こします。

初期症状(摂取から1時間以内が多い)

  • 嘔吐
  • ふらつき(運動失調)
  • 眠そうにして元気がない(傾眠)
  • 重度の場合:虚脱、痙攣発作、意識消失

まれに、急激に血糖値が下がったあとに体が反応し、一時的に高血糖になる(リバウンド現象)ことも報告されています。

また、インスリンの作用により大事なミネラル(カリウムやリン)も細胞内に取り込まれるため、筋肉や神経の働きが乱れ、症状が悪化することがあります。

肝障害が出る場合(摂取から9〜72時間後)

キシリトール中毒では、肝臓に強いダメージが出ることもあります。原因はまだ完全には分かっていませんが、代謝の過程で肝細胞が傷ついてしまうと考えられています。

  • 初期に嘔吐を認めることがある
  • 進行すると肝機能障害により血が固まりにくくなり、
    • 点状出血
    • 黄疸
    • あざ(紫斑)
    • 消化管出血による黒色便(タール便)
      などが見られることもあります。

猫に現れる中毒症状とは?

犬ではキシリトール中毒がとても有名で、少量でも命に関わることがあります。
一方で、猫に関しては犬ほど強い毒性は確認されていません

これまでの研究や事例の中でも、明らかな中毒症状は確認されなかったとされています。

つまり、猫では犬のように深刻な中毒を起こす可能性は低いと考えられています。
とはいえ「絶対に安全」とは言えません。大切な猫ちゃんを守るためには、キシリトールを含むお菓子や製品には近づけないようにするのが安心です。

犬にとって危険なキシリトールの量とは?

人ではほとんど害がなく、たくさん摂ってもお腹がゆるくなる程度のキシリトールですが、犬では少量でも命に関わる危険があります

犬における危険な摂取量の目安

  • 0.1g/kg以上 … 低血糖を起こす可能性あり
  • 0.5g/kg以上 … 急性肝障害のリスク
  • 0.075g/kgでも低血糖を起こした例あり

体重5kgの犬では…
ガム1枚に含まれるキシリトール量でも危険に達する可能性があります。

ただし、これには個体差があり、0.5g/kg以上食べても肝障害が出ない犬もいれば、0.075g/kgというほんの少しの量で低血糖を起こした犬も報告されています。
つまり、「これくらいなら大丈夫」という安全な量は存在しないのです。

そのため、少しでもキシリトール入り製品を食べてしまった場合は、必ず早めに動物病院を受診し、血糖値の確認などをしてもらうことが大切です。

 

キシリトールを食べてしまった時の初期対応

キシリトールは体に入るとすぐに吸収されるため、「吐かせる処置」や「活性炭を飲ませる」といった一般的な中毒対策はあまり効果的ではありません。

動物病院では、まず 血糖値や意識の状態を確認することが最優先です。

低血糖がある場合 → ブドウ糖の点滴で補正

必要に応じて、

  • カリウムやリンの補正
  • 吐き気止めの投与
  • 肝臓を守る薬や抗酸化剤
  • 凝固障害や貧血が重度の場合は 輸血も検討

                

まとめ

キシリトールは、人には無害でも犬にとってはほんの少しでも命に関わる危険な物質です。
血糖値を急激に下げてしまい、ふらつきやけいれん、意識消失といった重度の低血糖を引き起こすことがあります。さらに、肝臓に障害を与え、出血傾向や貧血といった深刻な症状につながることもあります。

また、「吐かせれば安心」ではないということにも注意が必要です。
キシリトールは体に吸収されるのがとても早いため、吐かせる処置だけでは中毒を防ぐことはできません。いかに早く動物病院で点滴治療を始められるかが、その後の回復に大きく影響します。


「ガム1枚くらいだから大丈夫」と思ってしまうと、治療が遅れて取り返しのつかないことになる危険があります。
大切なのは、犬の手の届く場所にキシリトールを含む製品を置かないことです。ガムやお菓子、歯磨き粉など、身近な製品に使われていることが多いため、日頃から保管場所の見直しと管理を徹底していきましょう。

キシリトールは犬にとって絶対に危
このことをしっかり知っておくこと、そして「誤食を防ぐ意識」を持つことが、愛犬の命を守ることにつながります。

ぜひ今回ご紹介した内容を、日々の生活の中での予防や、万が一の対応に役立てていただければ幸いです!

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